前期研修医 研修終了者の声

前期研修医 研修終了者の声(2023年度)

今村 友也(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は総合診療としての考え方を学びたいと思い、地域実習とは別に1ヶ月間織田病院を選択で学ばせていただきました。まずそこで大学病院と地域の市中病院との違いに衝撃を受けました。大学ではどちらかというとまず診断がついた患者が多いため、病気について学問的にしっかりと学ばせて頂き、じっくりと考えることが多かったです。一方で織田病院では診断がついていない患者のファーストタッチの機会が多いため診断をつけながら加療することが多く、大学病院では経験が少なかったため別方向の刺激となりそれが非常に良かったと感じております。
 織田病院で研修医のうちに初めて主治医を経験し、自分が動かないと状況が変わらない、といった感覚を直に感じられたのは大きく、大学とは違う意味で大きな刺激を感じられました。そしてただ主治医を任せられるのではなくフィードバックの機会が大量にありました。週に一回の受け持ち患者の発表で他の科の先生に見て頂くことで考えてもなかったような意見を頂き方針が決まることもあって、なにかあれば毎日指導医の先生や他の科の先生にも自分の患者について相談させて頂き、助けて頂きました。先生方も気さくで指導も素晴らしく丁寧で相談までのハードルは低かったように感じます。
 また、救急の当直の機会も頂き、1stで対応しますが、2ndの先生にしっかり見て頂き救急患者について何が優先で何がそうでないかの感覚を養ういい機会にもなりました。
 そして織田病院は比較的御高齢の方が多いため今後について厳しいICをすることも多く、繊細な話のためその話し方や言葉選びをしっかり学ばせていただき、実際に拙いながらもICさせて頂きました。人にとって生きるとは何かを考えるいい機会になったように思います。
周りのコメディカルの方にも助けて頂き、改めて自分がとにかく未熟で周りに助けて頂いたんだな、と痛感しています。来年は3年目になりますが医療知識はいくらあっても足りないことを理解しつつ貪欲に吸収していく努力を欠かさないよう、そして周りへの感謝を忘れないよう、精進していこうと思います。また学ばせて頂ける機会があれば幸いです。織田先生を始め、全ての先生にお世話になりました。本当にありがとうございました。


 

花田 嵩史(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 初期研修医2年目の花田嵩史と申します。地域医療研修として2ヶ月間の研修をさせていただきました。私はもともと総合診療や地域医療に興味があり、当時の初期研修2年目の先生にその旨を伝えて相談させていただいたところ、「織田病院を2ヶ月」を提案していただきました。
 実際に働かせていただいて驚いたのが指導の手厚さです。織田病院で常勤として働いておられる先生方だけではなく、佐賀大学医学部附属病院の先生方にも沢山の指導を賜ることができました。特に救急外来に関しては、助言を数多くいただきつつ、それを次の診療へ生かす、といった流れを繰り返すことができました。
 また、8月には日本在宅救急医学会や日本病院総合診療医学会の学術総会にも参加させていただきました。学術総会では各分野の最先端の知見に触れることができ、とても良い経験となりました。
 2ヶ月と短い期間ではありましたが、非常に充実した研修を送ることができました。偏にご指導いただいた先生方、そして職員の皆様のおかげです。改めて御礼申し上げます。


 

三根 大樹(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 初期研修医2年目の三根大樹と申します。私は地域医療研修として1ヶ月間、織田病院で研修をさせていただきました。私が織田病院を研修先として選んだ理由は、地域における「総合診療」とは何かを実際に肌で感じたいと思ったからです。
 研修内容としては、初診の外来から入院、退院、退院後フォローの外来までの一括りを多くの患者さんを通して経験させていただきました。まずは自分で検査・治療を全てアセスメントし、その後指導医よりフィードバックをいただきます。その過程を繰り返し、各々の患者さんにとっての最適解を模索していきました。地域の特性上、高齢の方が多いため、内服薬の漫然投与の是正や生活背景を考慮した治療・退院目標の設定などは特に重要視しました。
 総合診療科は医療の専門性が進む現代において、特定の臓器にだけ着目するのではなく患者を多角的に診るという重要性・必要性から生まれた新しい診療科です。医学生の頃、講義や地域医療実習(一次・二次医療機関の見学)もあり、多少は総合診療について理解しているつもりでした。しかし、多くの患者さんについて上級医の先生方と議論するにつれて、自分のアセスメントの甘さを痛感しました。先生方のマネジメントは洗練されており、私のはるか遠く先まで見通されていました。今まで多くの診療科で研修してきましたが、当然ながら専門の臓器を中心としたアセスメントであり、総合診療的な見方は大変新鮮味を感じました。
 総合診療科は専門性が見えにくく、その重要性をすぐに理解するのが難しい診療科の一つだと思います。興味のある方は実際に足を踏み入れて学んでみてはいかがでしょうか。
 最後になりますが、今回研修を受け入れていただいた織田病院のスタッフの皆様、担当させていただいた患者様には大変感謝しております。ありがとうございました。


 

原 静流(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は佐賀大学医学部附属病院のプログラムで初期研修を行なっており、地域医療研修で織田病院を選択しました。 織田病院での研修を希望した理由は、研修医が入院患者さんの主治医としてチーム医療に参加したり、救急外来や当直でのファーストコールを経験できることでした。
 まだ自分主体での外来経験が少なく、慣れない環境での研修当初は不安が大きかったですが、指導医の先生方の手厚いバックアップのおかげで安心して診療にあたる事ができました。過不足ない病歴聴取と診察、効率良い検査の出し方など、時間も資源も限られる中で見落としが許されない外来診療の難しさを感じました。
 入院患者さんの主治医として病棟管理をする上では、患者さんの年齢や地域での生活背景に合わせた治療方針をたてて、コメディカルスタッフと協力して退院あるいは転院まで患者さんをサポートする流れを経験できました。超高齢者や多くの合併症を持った患者さんが多く、頓用薬や点滴ひとつでも使い方に悩んだり、その患者さんにどこまでの精査・治療介入が望ましいかなど教科書通りにいかない事もよくありました。
 指導医の先生方やコメディカルスタッフの方々に恵まれた環境で、研修医のうちに自分主体の外来・救急対応や病棟管理に挑戦できたことは大変貴重な経験となりました。1ヶ月間お世話になりました。


 

前期研修医 研修終了者の声(2022年度)

南里 水晶(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は今年度から開始された西武南部地域プログラムで織田病院を選択し、研修医1年目に1年間織田病院で研修をしました。今年度からのプログラムであり、不安もありましたが、学生実習で感じていた雰囲気の良さに惹かれ、織田病院を選択しました。
 まずは内科から始まりましたが、基本的な業務や手技をしっかり身につけた後に数人の担当患者さんを持ち、主治医として入院患者さんへのマネジメントを学びました。内科研修を行いながら、発熱外来や救急外来、当直を経験しました。初療を実践的に学びながら、その日の内にフィードバックをもらうことで、急性期の対応を学ぶことができました。家族から話を聞いて情報を集めたり、患者さん本人に問診をして鑑別をあげたりと、臨床的な能力をとても育てることができました。また、原則的に診療依頼を断らず、まずは診てみるという総合診療のマインドも学ぶことができ、最後まで緊張しっぱなしでしたが、少しは度胸がついたと思います。
 選択では、耳鼻科と皮膚科を選択しました。皮膚科では外来ブースを1つ任せていただき、研修開始2日目から新患を診察させていただきました。帯状疱疹の患者さんから、「先生のおかげで良くなりました。ありがとう。」と言っていただき、やりがいを感じました。日々の研修の中で、自分の力不足で悔しい思いをして泣いたこともありましたが、成功体験も経験できました。
 洋子先生や良正先生の「とりあえず手を出してやってみよう」というマインドに、最初は驚いていましたが、その方が学べることも多く、成長速度が速くなると実感しました。また、研修医1年目にたくさんの経験をさせていただける環境を作って下さり、医師としての責任を早速感じながら研修しました。また、看護師さんを始め、たくさんのスタッフの方々に助けていただき、スタッフの方々からも多くのことを学びました。あまり出来が良いとは言えない研修医でしたが、どの診療科の先生方も優しくご指導頂き、医局でも雑談で話しかけて頂き、とても楽しく1年間過ごせました。先生方、織田病院のスタッフの方々、本当にお世話になりました。今後、また関わることがありましたらよろしくお願いします。


 

平野 雄介(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 皆さんこんにちは。初期研修2年目の平野 雄介と申します。
 私は2022年より新設されました西部・南部・地域連携型プログラムを選択し、1年目は織田病院、2年目は佐賀大学医学部附属病院にて研修をさせていただいております。
 今回は研修体験記を通じて私が織田病院を選んだ理由と、1年目の研修を終えての感想をお話していこうと思います。
 まず結論として私が織田病院を選んだ理由は「総合診療に興味があったこと」と「病院の雰囲気が非常に明るかったこと」の2つにありました。1つ目の総合診療について、織田病院は南部地域における2次救急の中核病院です。そこで必要とされる能力はまさに総てを診る能力に他なりません。そこでは地域の中核病院として全ての患者の全ての疾患を取り敢えず診察し、適切なアセスメントを行う必要があります。そのため専門診療科としての看板はあるものの全ての診療科の医師が協力して患者に向き合う環境が作られていました。その中で研修を行い、1人のスタッフとして常に患者に向き合い求められている能力を研鑽することで、1年かけて総合的な視野と思考を育む礎を築くことが出来たとおもいます。
 2つ目の病院の雰囲気についてですが、前述のように織田病院には病院全体で患者と向き合う雰囲気があります。それは看護師も薬剤師も、事務も同様で同じ目標を持った仲間として楽しく仕事を行うことが出来ました。自分はこの雰囲気が非常に好きで辛いことがあってもストレスを抱え込まずに毎日の仕事に打ち込むことが出来ました。ただ、西部・南部プログラムを選ぶ上で研修医の枠、つまり同僚が少ないことに不安に感じることもあるかもしれません。しかし前述のように病院内の雰囲気も良く、沢山の友人ができますし、研修医の同年代と比較できない分1人の医師として上級医と共に研鑽を続けることが出来るため、結果的に上級医に囲まれて近い距離で指導を受けられる環境は結果として自分の糧になったなと感じています。
 最後にマッチングに悩んでいる医学部生の皆様へ
 結局どこに行っても変わらないと思います。笑 どんな物があっても、どんな人がいても、そこで頑張るのは自分です。学び取ろうとすればどんな環境でも学びはあるはずです。ですから、自分が頑張れる環境に身を置くことが肝要だと私は思います。結果としてそれがお金であったり、物品であったり、人や雰囲気であったりするでしょうが、それを見極めるために希望する病院には積極的に見学に行ってみてくださいね。これを読んでいる皆さんが素敵な研修生活が送れるよう祈っております。
 長くなりましたが最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


 

木須 絵理(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 地域医療研修として1か月間、織田病院で研修させていただきました。学生の時の1週間の実習で、急性期の治療だけでなく地域の医療機関や福祉施設との連携体制がしっかりしていて地域医療といえば織田病院、という印象が強く残っていたことと、救急外来での初期対応や当直を研修医の間に経験したいという気持ちがあり、織田病院での研修を希望しました。
 救急外来対応、当直対応、主治医として入院患者さんを診るという経験は初めてで戸惑いました。患者さんが到着するまでの間に鑑別診断や診察、検査の手順を考えたり、入院後の治療方針をガイドライン等を参考にしながら自分なりに考え指導医の先生と相談したりする毎日で、とても勉強になりました。また、私は将来外科に進むことを決めていたため、外来での創処置なども経験させていただきました。実際に経験してみると、数針縫うだけでも、局所麻酔の仕方、どの糸で縫合方法はどうするかなどその場で考えることがいくつもあることに気付きました。数例でも縫合処置できたことは良い経験になりました。
 最後になりましたが、ご指導いただいた先生方、職員の方々に心より感謝申し上げます。廊下などで会った際に皆さん笑顔で挨拶をし合う、織田病院の温かい雰囲気もとても好きです。1か月間ありがとうございました。


 

重冨 桂二郎(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は初期研修2年目の10月から2ヶ月間、織田病院を選択した理由は、数多くの症例を経験することだだけでなく自分が主体となって診療を行うことができると聞いていたからです。2022年より初期研修のプログラムとして織田病院が研修施設として加わり、指導熱心な先生方がたくさんいらっしゃいました。その中でも副院長の織田良正先生をはじめとする若手の総合診療部の先生方には、本当にたくさんのことを教えていただきました。私は2年間大学病院で研修していたため外来経験はあまりなかったのですが、そんな私でも発熱外来や救急外来で適切な対応ができるようになったと実感しています。入院となった患者はそのまま自分が主治医となり、多職種で連携して診療を行うことができました。一番驚いたことは入院患者の平均年齢が80歳前後か、それ以上であったことです。意思疎通が取れずに身体診察ができない症例も数多くありました。そのような状況下で病態を考え、必要な検査治療を行う訓練ができて非常に良かったと思います。織田病院のスタッフの方々は親切であり、とても働きやすい環境でした。ありがとうございました。


 

相良 駿介(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は佐賀大学医学部附属病院の初期研修プログラムで2年目に地域医療の1ヶ月として織田病院を選択させて頂きました。選んだ理由としては学生時代の地域実習では診療所でお世話になり、織田病院のような2次医療機関の現場を経験したことが無かったことが挙げられます。また、私が耳鼻咽喉科志望であり、サージセンターを併設して力をいれている織田病院が魅力的に見えたことも理由の一つでした。
 研修自体は主治医や当直、一部外来等をさせて頂ける非常に実践的なもので、とても有意義な経験をさせて頂きました。研修医にまかせてもらえる範囲が広く、かつ上級医の先生方には質問しやすい空気が作られており、とても良い環境で研修を過ごすことが出来ました。耳鼻咽喉科志望であることを伝えると、週1日、手術日に耳鼻咽喉科で研修を行うといった柔軟な対応もして頂き、研修医の声に耳を傾け一人ひとりのことをしっかりと考えてサポートして頂いた1ヶ月間でした。診療では終末期の患者様も多く、3次医療機関とは違った考え方が必要になる場面を多く経験しました。患者様一人ひとりにとって何がベスト、あるいはより良い医療なのかを常に考えさせられる研修でした。COVID-19感染症第7波の時期と被り、普段の診療に加え発熱外来、コロナ病棟といった状況も含めて、研修できたことも非常に勉強になりました。Common diseaseも多く経験させて頂き、COVID-19感染症が多い中、発熱外来に腎盂腎炎が紛れていたりと、症候から鑑別をしっかり挙げて系統立てて考える重要性も改めて学ばせて頂きました。
 お忙しい中にも関らず、織田病院の先生方、職員の方々には温かく迎え入れて頂き、1ヶ月という短い期間でしたが非常に充実した研修を送らせて頂きました。本当にありがとうございました。


 

前期研修医 研修終了者の声(2021年度)

芹野 南美(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は佐賀大学医学部附属病院の初期研修プログラムで2年目に地域医療の1ヶ月として織田病院を選択させて頂きました。初期研修プログラムでは大学病院と市中病院のたすきがけでしたが、織田病院で初めて主治医を任せてもらいました。上級医の先生に質問しやすく、上級医の先生から声をかけてくださることもあり、研修医が主治医をしていてもしっかりとしたバックアップ体制がありました。初期研修のうちに、バックアップ体制があるところで主治医を任せてもらえたのは非常に良い経験になりました。

入院診療だけでなく救急車対応やCOVID-19流行期の発熱外来などたくさんの経験をさせていただきましたが、研修をしていて良かった点、助かった点の一つは、J-OSLERで必要な症例を経験させてもらえたことです。織田病院での研修は初期研修2年目の終盤で、その際には3年目からは内科を専攻すると決めていました。上級医の先生が大変優しく、J-OSLERで経験すべき症例を意識して入院診療を担当させていただくことができました。実際研修をするまで知りませんでしたが、織田病院は地域に根ざした病院のため、受診されている患者様の疾患がとても多様でした。内科だけでも総合診療科、呼吸器内科、肝臓内科、消化器内科、血液内科の先生が常勤され、外来では神経内科や膠原病内科があり、内科疾患の研修はとても充実していました。肺炎や心不全などのCommon diseaseが勉強できるのはもちろんのこと、初診で来た方が実は希少疾患だったということも度々ありました。初診の筋萎縮性側索硬化症、化学療法目的の急性骨髄性白血病など、比較的珍しい症例を経験し、内科指導医の先生にご指導いただくことができました。他にも内分泌疾患や感染症など、これまで初期研修で回れなかった科や回ったけれど経験できなかった疾患を勉強することができました。地域医療について学びつつ、手厚い指導のもと専門的な勉強もできるとても恵まれた環境でした。改めて各診療科の先生方、スタッフの皆様方に心から感謝申し上げます。


藤本 光(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は学生時代の地域医療実習を織田病院で行い、1週間という短い期間ではありますが手厚い指導体制、スタッフ間のスムーズな連携体制を見て他の病院にはない魅力を感じました。研修医となり地域医療研修を選択する際に、学生時代にはなかった臨床的な視点からもう一度地域医療の経験を積みたいと考え、織田病院での1ヵ月の研修を選択しました。
 研修については主に救急外来、一般外来での対応を中心に入院患者に関しては先生方の指導の下で主治医として診療に関わり、今まで不足していた治療方針決定を下す立場を実践的に経験し、手技についても指導を受けながら自分の手で様々な経験を積むことができました。私は3年目以降の進路として内科医になる選択をしましたが、織田病院での研修では総合的な内科医としての能力の未熟さを実感する毎日となりました。高度救急医療からかかりつけ医への橋渡し的存在として織田病院は位置しており、患者さんにとっては入院という機会は今までの診療を整備する絶好のタイミングとも言えると感じました。内服薬の一つをとっても「この薬剤は本当に有益なのか?この患者さんにとってはより適した薬剤があるのでは?」と自問する毎日となり、一人ひとりの患者さんの5年後、10年後を考えて現在の選択を行うという思考過程は大学病院の研修ではあまり見についてこなかった部分でした。この思考過程が身についたことで、今後の内科医としての人生の中でこの1ヵ月の研修が大きな転換点になるのではないかと感じました。
織田病院での研修では手厚い指導の下ではありますが、自分主導で決定を下すという初期研修医から専攻医へのステップアップを踏むことができ自分自身としても大きく成長できた1ヵ月でした。この経験を生かしてさらに実力を身につけ、皆様の力になれる医師を目指したいと思います。改めて各診療科の先生方、各医療スタッフの皆様がたに多大な感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。





井上 裕香子(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は佐賀大学医学部附属病院で2年間初期研修を行なっており、地域医療の1ヶ月として織田病院を選択させていただきました。織田病院さんには学生の頃地域実習でお世話になった際にとても楽しかった記憶があり、研修医では主治医や当直を経験させていただけると伺い選択しました。
 当直では、common diseaseに加え見落としてはいけない疾患も考えながら効率よく動く力が必要で、本を読んでわかっているつもりでも実際に体が動くとは限らず、自分の未熟さを改めて痛感しました。また、主治医として働くということは、大学で研修医として働くことと全く違うと感じました。輸液の1本や便秘の頓用薬といった一見些細なことでも、使う薬の種類で迷います。そして、使う薬が決まったら、次は量で迷います。改めて、主治医としての仕事の大きさを知り、研修医の間に経験できてよかったと思いました。織田病院では、ご高齢の患者さんが多く、ご家族と相談の上で積極的な治療はせずに診ていく方も多かったです。そのような患者さんの中での印象的だった女性がいます。90歳を超えていた方で、積極的な治療はしない方針となりました。その方は、ご家族と相談し補液のみで診ていましたが、入院時よりも意識レベルはむしろよくなっていきました。初めは反応も乏しいことが多かったのですが、転院の際にお部屋に行った時に強く私の手を握られ真っ直ぐ目を見て何か言おうとされていました。残念ながら、言葉は聞けませんでしたし、私の勝手な思い込みかもしれませんがお礼を言われたように感じました。医師は人を救う仕事ですが、織田病院でご高齢の患者さん方をみて、本当の意味での「救う」とはどういう事なのかを考えさせられました。可能な限り延命治療を行うことが必ずしも救うことではなく、できる限り苦痛を取り除くこと、安らかに過ごせるようにすることが「救う」ことになる場合もあるのだと感じました。医療が発達している今だからこそ、患者さんやご家族の声に耳を傾け、病気ではなく人間と真摯に向き合うことがより必要なのかもしれないと思いました。
私は来年から神経内科医として働きます。神経内科には治療困難な疾患も多く、知識も技術も未熟な私は悩みが尽きないだろうと思いますが、1歩1歩人を救う力を付けていけたらと思っています。織田病院で得た経験や気持ちを忘れずに精進していきたいと思います。
1ヶ月間、迷ったり悩んでばかりだった私にたくさんアドバイスをくださった先生方、優しく声をかけてくださったスタッフの皆様、本当にお世話になりました。仕事に関しては悩んでばかりでしたが、毎日とても楽しかったです。ありがとうございました。



後藤 憲人(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

私は9月の1ヶ月間、総合内科でお世話になりました。地域医療での研修先は、他にも様々な病院がありましたが、私は2年前の学生実習の時にも織田病院にお世話になり、その時から研修先は織田病院以外ないと考えていました。
学生の頃にも感じていたことですが、地域医療において、織田病院は常に積極・先進的であり、今後見習うべき点、参考にすべき点が多々あると感じていました。特にMBC(メディカルベースキャンプ)という退院後の患者さんに対して在宅ケアを絶え間なく継続していくシステムは、医療者にとっても安心して患者さんを自宅退院させることができ、患者さんにとっても慣れ親しんだ在宅での療養を継続できるものだと、印象に残りました。研修の中では、そうした地域医療としての織田病院の役割を学ぶと共に、主治医として症例を担当したり、外来診療をしたりと、様々な経験をさせて頂きました。外来患者さんを診る際も、治療や助言をして帰すだけではなく、フォローが必要な方を如何に見つけ出して、次回の診療に繋げていくか、という点で考えていくことが必要であり、外来診療の難しさを感じました。
この1ヶ月間を通して、地域医療の重要性を再認識すると同時に、来年以降の後期研修に向けて一般外来診療スキルも向上できたと思います。お忙しい中にも関わらず、私の質問に丁寧に答えて頂いたり、病院のシステムがよくわかっていない私を助けて頂いた先生方やスタッフの皆様方、大変お世話になりました。病院職員の方々全員から温かく接して頂き、楽しく研修期間を過ごせたと思います。本当にありがとうございました。




松永 明紗(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

私は2年目の夏に織田病院の耳鼻咽喉科で研修をさせていただきました。
私は佐賀大学医学部附属病院の葉隠プログラムで初期研修しており、このプログラムでは、初期研修の2年間の中で選択科目を佐賀県内の研修協力施設で自由に選択し研修することができます。
初期研修後の専攻は耳鼻咽喉科を検討していたため、2年目のローテートを決定する際に、市中病院の耳鼻咽喉科でも勉強がしたいと考えていました。織田病院の耳鼻咽喉科は、佐賀県内でも盛んに手術や外来を行われており、特に耳領域が有名とのことであったので、ぜひここで研修がしたいと思い、選択させていただきました。
1年目に大学病院の耳鼻咽喉科でも研修をしていたのですが、外来・手術どちらも大学病院では遭遇できていなかった症例を多数経験することができ、大変勉強になりました。また周辺地域に入院施設のある耳鼻咽喉科が少ないことから、唐津や長崎からも紹介で受診される方もおられ、地域の病院の担う役割についても考えさせられました。その他、研修中は実際に手技をさせていただく機会も多く、診療へのモチベーションも高まりました。3年目以降に向けて、もっとスキルを磨きたいと感じるようになりました。
短い期間での研修でしたが、織田病院の先生方やスタッフの方々には本当に温かく迎え入れて頂き、何不自由ない研修をさせていただくことができました。多くのご指導・ご支援を賜り、本当に感謝しています。ありがとうございました。





石川 竣介(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

 私は将来精神科志望で、内科系の知識を身につけたいという希望があり、幅広い分野の内科疾患を見させていただきました。2型糖尿病やterminal stageの肝細胞癌などの管理から、敗血症や髄膜炎などのいわゆる重症症例の管理まで2ヶ月でおよそ19症例経験することができました。
また、救急当番や発熱外来などの外来診療も行うことができました。当番の中では、それまでの研修で行う機会のなかった腹水穿刺や胸水穿刺、関節穿刺などの手技も経験出来ました。
2ヶ月と言わずもっと勉強させてもらいたいと思える、非常に充実した研修となりました。




中島 央律紗(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

今回私が織田病院を研修病院に選んだ理由は複数あります。学生の頃から患者様や現場のニーズに合わせて仕事をする総合診療の分野に興味があったこと、医学科6年生の時に短期間ではありましたが、地域に密着した患者様の暮らしを支えている織田病院で大変楽しく濃厚な実習をさせていただき、研修医になってもこちらでお世話になりたい、戻ってきたい、という思いが強くあったこと、そして何より、織田病院には、学生時代や研修1年目の春にお世話になった、多忙な環境でもご指導を大変熱心にしてくださる総合診療科の先生が多く在籍されており、他科の先生方および他職種のスタッフさんにも相談のしやすい、『患者様が暮らしている様子』や『関わっていただいたスタッフさんからみた患者様の視え方』がしっかり見える環境で、時間はかかれど、一つ一つのことを、沢山の視点で学ぶことができると考えたからです。
向こう2年の大学病院での研修では見えにくいような、目下地域自体が抱えている問題、患者様やその家族の背景、病院が担うべきラインの難しさ、高齢社会の中で患者様やその周囲の方々のしあわせとは何か、など、医学科6年生の1週間の実習では感覚でしかなかったものが、研修医2年目の1ヶ月の研修で、疾患の側面、人間の人生としての側面からありありと体感しました。

現状に即して行う診療や疾患のコントロールの実際と、我々が患者様に求められている事との相違を常々頭に入れながら、適切に関わり、患者様にとっての日常へ戻ることの大切さを身をもって感じ、その場所に居続けることの重要性を切実に感じました。

訪問診療、内科の定期外来やオンライン診療の様子の見学、そして救急外来でのファーストタッチ、夜間や日中の急患への対応のスピード感と線引き、病状説明や入院での感染症や自己免疫疾患の治療、手技やその見学など、沢山の事を研修医の分際で経験させていただき、駆け出しの未知な部分の多い時分として、患者様にとってよりよい選択肢を取るための実臨床の中での問診や診察の精度および学問の追求がいかに大切か、そしてもし自分の家族だったらという視点を忘れないことの大切さを肌で感じることができました。

沢山のスタッフの皆様のご尽力で、地域を支える事ができているという事を改めてこころから理解し、そんな中ご指導、ご助言いただいたことに感謝の念でいっぱいです。これからも、スタッフの皆様をはじめ、患者様やそのご家族からいただいた言葉、感じた事を精一杯握りしめながら、医師として生涯をかけてまなび続けます。1ヶ月という短い間でしたが、一日一日が大変興味深く、濃い研修となりました。本当にありがとうございました!





前期研修医 研修終了者の声(2020年度)

松尾 祐里(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

数ある地域医療研修病院の中から私が織田病院を選択した理由は幾つかありました。
まずは学生時より総合診療の分野に興味があったこと、お世話になった総合診療科の先生が多く在籍され、力を入れてあると聞いていた貴院で研修したいと思っていました。
第二に、研修1年目を三次病院である大学病院で過ごした私にとって地域医療とは何かを具体的に言葉で説明できず、鹿島市とその周囲の医療・介護を担っており、MBCという聞いたことのなかった画期的な制度があることなどにすごく興味を持ったからです。
実際に研修を終えて、何もかも初めての経験でありすごく新鮮で毎日出勤が楽しかったのが正直な感想です。
聞いてはいたもののそれまで大学病院で接してきた患者層と比べて10歳ほど高齢であることに驚きました。
疾患だけでなく生活背景に準じて入院可否のハードルは個々で変わってくるし、高齢であればあるほど長期入院によって自宅退院が困難になるなど退院支援が複雑になってきます。
もちろん入院中は病態や治療方針を最も検討していましたが、各患者の退院後について考える機会がかなり多かったように思います。それぞれの職種の方が、独居や老々介護が多い背景・生活状況を入念に考慮して退院後のフォロー方法を検討されていました。
「患者」ではなく「市民・町民」の営んでいる生活に即した医療があると感じました。
「紹介される側」と「紹介する側」のどちらの側面も持っている織田病院で研修させてもらえることがとても貴重に感じました。
また、MBCやDCU、私が研修させていただいた時期にちょうど始められていたオンライン診療など、今の住民に即した診療を次々とされていて興味深く感じました。
織田病院での1か月の研修で、断らずに何でも診ようとする、地域住民の求める診療に近づこうとする職員みなさんによる診療を体感したことで、将来進む診療科を考えるきっかけともなりました。
改めて、織田良正先生をはじめとする総合診療科の先生方、全ての職員の方々に感謝申し上げます。1か月間ありがとうございました。

松尾 祐里

喜代原 環(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

私は佐賀大学附属病院の葉隠プログラムでの初期研修を行っています。
葉隠プログラムでは、2年目の選択科目については、佐賀県内の研修協力施設での研修が自由に選択でき、自分の進路や希望に合わせて研修先を選ぶことができました。私は1年目の研修で大学の耳鼻咽喉科で研修を行いました。
大学とはまた違った角度から、さらに勉強がしてみたいと考え、佐賀県内でも特に織田病院の耳鼻咽喉科は盛んに手術や外来を行っているとのお話を聞いていたため、研修先として選ばせて頂きました。
実際に研修をする際には、耳鼻咽喉科に加え、皮膚科にも興味を持っている状況であり、進路選択に迷っている最中でした。織田先生にご相談させて頂いたところ、直前の相談であったにも関わらず、臨機応変に対応して下さり、1ヶ月の短い研修期間の間でしたが、両方の科での研修をさせて頂けることとなりました。
耳鼻咽喉科では大学ではあまり診ることのできなかったcommon diseaseを沢山経験でき、手術では実際に手技をさせて頂く機会もあり、大変勉強になりました。
皮膚科においても、その疾患の頻度は高くても、今までの研修では診たことがないような疾患を沢山経験させて頂きました。
研修科以外の先生方にも昼食の際や休憩時間などに、お話をする機会があり、最初は新しい環境での研修に緊張していましたが、とても有意義な時間を過ごすことができました。
ありがとうございました。


馬場 康平(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

私は地域研修先として織田病院を選択した。内科と外科双方の治療に注力していること、佐賀南部救急の大部分を受けるこの病院で救外や救急車対応を多く経験して臨床能力向上に繋げたいと思ったからだ。
また、将来の診療科についても不安があり、マルチな方面で活躍されている織田良正先生に様々な観点から話を聞きたいと思ったことが本音だったりもする。
それはさておき、1か月という短い間だったが、本当に数多くの経験ができた。まず、救外で感冒や腸炎などのいわゆるcommon diseaseを始め、軽度の外傷や敗血症性ショックなど初期対応にやや難渋する場面にも遭遇した。
特に印象的だったのは、胸部違和感でウォークイン受診した80代後半女性のA型急性大動脈解離の1例である。詳細を書きたいが、端的に言うと、CT後に心タンポ+意識消失の状態になりながらもなんと一命を取り留めた。
かくいう小生はもちろん急変事態で対応が後手に回っていたのだが、織田先生は冷静で、家族説明には聞き入った。その後患者の状態は驚くほど改善し来院から48時間以上生存したが最終的には亡くなった。残念だったが実に貴重な経験だった。
また、主治医の“つもり”で治療方針を考え、退院・転院の話を家族に説明する機会も頂けた。MSWや看護師、その他職種スタッフとの密接な連携も地域医療の貢献に欠かせないものだと感じた。
最後に、織田病院の肝でもあるオンライン診療にも僅かながら触れられた。今のコロナ禍では勿論、対面診療が困難な患者にも常に目を配り寄り添う医療が出来るシステムを実際に経験できたことは非常に有難く、佐賀県で最初にオンライン診療を経験した研修医かもという織田先生の言葉は嬉しかった(笑)。
大学病院では経験できないことを多く経験させて頂いた織田病院での研修を忘れず、この経験を活かしたい。

馬場 康平

嘉村 真知子(佐賀大学医学部附属病院 初期研修医)

私は佐賀大学医学部附属病院で二年間初期臨床研修を行うプログラムの地域研修で織田病院を選択しました。
前年度の研修医から救急外来の対応を研修できるという話を聞き、また学生時代にお世話になった先生がおられた事もあり研修を行いたいと思いました。
研修内容としましては、総合診療科で救急外来と病棟に加え、私が3年目以降専攻する診療科での研修もできるようにして頂きました。
救急外来ではWalk-inの重症な症例や、症状が非特異的な症例やうまく訴えることができない症例などを経験することができました。そのような症例では問診や診察がより重要となり改めて基本に立ち返る事ができました。
その他、オンライン診療の見学をさせていただきました。直接の診察ができないため問診や、視診の情報しかなく難しいですが、定期の通院をされている方にとってメリットは大きく自分もスキルを習得したいと思いました。
患者さんの入退院や往診などを経験していく中で、各職種の院内での連携はもちろんですが、地域の他施設とも協力し地域の医療を支えていることが強く感じられました。
最後となりましたが、織田病院のスタッフの皆様に温かくご指導・ご支援頂き大変貴重な1ヶ月間となりました。大変お世話になりました。

嘉村 真知子